1. 実質賃金とは何か?基礎から理解しよう
1-1. 名目賃金と実質賃金の違い
名目賃金と実質賃金は、働く人が得る収益を示す指標ですが、その意味と役割は異なります。
名目賃金とは、労働の対価として支払われる金額そのものを指し、通帳に記載された給料金額や会社から発行される給与明細の金額から確認できます。
一方、実質賃金は、この名目賃金を物価変動で調整した値を指し、実際の購買力を示します。
たとえば、名目賃金が増えた場合でも、物価高が進むと実質的な生活レベルは上がったとは言えない状況が生じかねません。
特に近年では、物価上昇が続いているため、実質賃金は私たちの生活水準をリアルに反映する大切な指標となっています。
本当に食品の値上がり、特にお米の値上がりは堪えますよね…。
1-2. 実質賃金の計算方法
実質賃金は、名目賃金と消費者物価指数の関係を用いて計算することができます。具体的には、「名目賃金指数 ÷ 消費者物価指数」で求められます。
この式により、名目賃金がどれだけの物やサービスを購入できる価値を持っているかがわかります。例えば、名目賃金が3%増えたとしても、消費者物価指数が同じく3%上昇していれば、実質賃金は変化しないことになります。
逆に、名目賃金が大幅に上昇していても、物価高騰の影響で実質賃金が低下するケースもあります。
この計算は厚生労働省や経済関連の公的データにも活用され、生活の実態を把握する重要な指標として重視されています。
1-3. 実質賃金が示す購買力の指標としての重要性
実質賃金は、単に所得の水準を示すだけではなく、国民の生活における購買力を反映する重要な経済指標です。
これにより、「給料がどの程度暮らしを支える力を持っているか」を測ることができます。
たとえば、食品やエネルギー価格が高騰し、物価高が進んだ状況では、名目賃金が一定以上に増加していなければ実質賃金が下がり、日々の生活に必要な支出を賄うのが難しくなります。
このように、購買力が低下することで生活が厳しくなるだけでなく、消費活動が縮小する可能性も指摘されます。
そのため、実質賃金の動向を把握することは、個々人の家計運営だけでなく、経済全体の健全性を考える上でも重要です。
1-4. 実質賃金の理解が社会経済に及ぼす影響
実質賃金への理解は、個人の生活に直結するとともに、社会全体の経済動向を分析するためにも大きな意味を持ちます。
たとえば、実質賃金低下が続けば、消費者の支出が減少し、企業の売上に影響が波及することで、経済全体の需要が縮小するリスクがあります。
また、実質賃金の減少が進むと、家計では節約や支出抑制といった行動が広がり、さらなる経済停滞を引き起こす可能性も懸念されます。
個人レベルの経済活動が国全体の経済成長に影響を与えることから、実質賃金の動向を深く理解することは、マクロ経済政策や家計防衛策を考える上で欠かせない視点となっています。
ぜいたく品をはじめとした生活必需品以外の商材を扱う特定の業種の方などは昨今の家計問題での買い控えなどで特に影響を受けているかと思います。
質屋でも、質預かりの件数はうなぎのぼりですが、バッグなどの販売に関してはかなり苦戦している現状です。
どちらもバランスが取れたら一番いいんですけどね。
2. 実質賃金低下の主な要因とは?
2-1. 物価上昇(インフレ)の影響
物価高は実質賃金低下の大きな要因の一つです。
名目賃金が増加していても、それ以上に物価上昇率が高い状況では、実質賃金がマイナスとなり、購買力が下がります。
2024年には消費者物価指数が前年より3.2%上昇しており、このインフレ率が実質賃金に直接的な影響を与えました。
特にエネルギー価格や食品価格の上昇が生活必需品のコストを押し上げ、家計への負担が増大しました。
毎月の支払いに頭を悩ませて、質屋に来店されるお客様はこの1・2年で本当に増えました。
特にお米が大幅な値上がりをした辺りから、お客様の流れが変わったような気がします。
2-2. 賃金の伸びと物価上昇率の関係
実質賃金が低下する背景には、賃金の伸びが物価上昇率に追いつかないという問題があります。
2024年の名目賃金は前年比2.9%増と33年ぶりの高い伸びを記録しましたが、消費者物価指数が3.2%上昇したため、実質賃金は前年比0.2%減少しました。
このような状況では、働く人々が受け取る金額が増えても、実際に買える商品やサービスの量は減少する結果となります。
2-3. エネルギーや食品価格の高騰要因
エネルギー価格や食品価格の高騰も、実質賃金に大きな影響を与えています。
特にエネルギー価格の上昇は電気やガス料金の負担を増やし、家計の圧迫につながっています。また、食品価格の値上げは生活必需品のコストを押し上げ、物価高の要因となっています。
これによって日々の生活費が増加し、可処分所得が減少することで消費行動が抑制される状況が進んでいます。
2-4. 政府政策の影響(電気・ガス料金補助など)
政府による政策も実質賃金に関わる重要な要因です。
電気・ガス料金の補助など、エネルギー関連の価格を抑制する取り組みは一定の効果を上げていますが、物価高全体への影響を十分に食い止められていない状況があります。
また、一部政策は短期的な対応にとどまり、長期的に実質賃金を改善するには不十分といえます。経済全体の安定を目指し、継続的かつ包括的な政策の実施が求められています。
電気代の見直しや、思い切って電力会社を切り替えることで受け取れるキャンペーンや特典などをうまく利用して、実質の電気代を下げるよう、筆者も努力しています。
3. 現状の実質賃金推移と国際比較
3-1. 日本の実質賃金推移の現状
現在、日本の実質賃金の推移は厳しい状況が続いています。
2024年の厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、働き手1人あたりの実質賃金は前年比0.2%減と発表されており、物価上昇が賃金の伸びを上回る影響が見え隠れしています。
一方で名目賃金は前年より2.9%増加し、33年ぶりの高い伸びを記録しました。しかし、消費者物価指数が3.2%上昇したため、実際の購買力を示す実質賃金はなお厳しい状況といえます。
特にフルタイム一般労働者は平均45万3445円、パートタイム労働者は11万1842円と名目では増加していますが、日常生活における物価高の中でその恩恵を体感できる人は少ない状況です。2024年は実質賃金がプラスとなった月が数カ月確認されていますが、全体を通じてみると減少傾向が続いており、家計の負担感が強い年であったといえます。
3-2. 他国との実質賃金の比較
実質賃金を国際的に比較すると、日本の厳しい現状が浮き彫りになります。欧米諸国では名目賃金以上に物価が急上昇し、結果として実質賃金が低下している国もありますが、特に日本では賃金上昇自体が鈍いため、国際比較では見劣りする状況が続いています。例えば、米国や英国ではインフレ対策として引き締め政策や賃金交渉が進められている一方、日本では春闘での賃上げ交渉が進むものの、それが物価高を上回るペースに届いていないことが問題視されています。
また、ヨーロッパではエネルギー価格の影響が大きかったものの、補助金や社会保障制度による支えが強調される政策がみられます。日本では、電気・ガス料金の一部補助が実施されていますが、それだけでは日用品や食品の価格高騰への対応が十分であるとはいえません。
3-3. 実質賃金が購買力に与える影響の深刻化
物価高の中での実質賃金低下が、購買力に深刻な影響を与えています。名目賃金の上昇が見られるにも関わらず、消費者物価指数がさらに大きく上昇していることから、家計の購買力は減少傾向にあります。
この状況下で、日常生活における支出削減を余儀なくされる家庭も多いです。節約志向が進み、外食や娯楽、耐久消費財の購入が控えられることが国内消費全体の縮小につながり、結果として経済全体の停滞を招く可能性があります。
特に、インフレ率が高いエネルギーや食品の価格高騰は、生活必需品への支出割合が高い低所得層に対してさらに厳しい影響を与えています。
このような現状が続けば、家計が将来の不安を避けるために貯蓄を優先し、経済活動が低迷する「デフレーション的な影響」が再び懸念される可能性があります。
3-4. 国別で見る名目賃金と物価のバランス
名目賃金と物価のバランスを比較した場合、日本は他国と比較して賃金改善の取り組みが相対的に遅いことが課題になっています。例えば、米国では政府主導でインフレ抑制を目的とした政策金利の引き上げが進められ、混乱はありながらも賃金上昇率が物価上昇に追随しています。
一方で日本では、物価高が生活を圧迫しているものの、デフレ脱却を目指して物価をある程度押し上げるという方針があり、結果として実質賃金への影響が見逃せない状況です。
生活必需品の価格上昇率が高いため、実質的な可処分所得の低下が懸念されています。また、労働市場の柔軟性が高い欧米諸国では、労働力の移動が活発であり、それが名目賃金の底上げにつながっています。日本でも労働環境の改善や非正規雇用の待遇向上といった対策が求められており、これらを実現することで国際的なバランスの改善が期待されます。
4. 実質賃金低下が生活に与える影響
4-1. 家計への影響:可処分所得の減少
実質賃金の低下は家計に直接的な打撃を与えます。物価高により消費者が実際に購入できる商品の数量が減少するため、家計の負担が増加します。
名目賃金が上昇しているように見えても、同時に物価が大幅に上がると、生活コストをまかなえる可処分所得が減少します。
特に、エネルギー価格や食品価格の高騰は日常生活に直結しており、家計を圧迫する主な要因になっています。
その結果、家庭では支出の優先順位を見直したり、生活習慣を変えざるを得ない場合が増えています。
4-2. 消費活動の変化(支出抑制・節約行動)
実質賃金が下がると、消費者の購買力が減少し、支出を抑える傾向が強まります。
家庭では外食や娯楽費の削減、またはブランド品や高額な商品の購入を控えるような節約行動が目立つようになります。
私も、一人暮らしですが外食は友人から誘われた時など特定の場面でしか使わなくなりました。
働きながらも自炊して、食費は15000円までに抑えるようにしています。(外食は交際費として勘定)
さらに、実際に切羽詰まってくると質屋を利用して現金化する動きや、「審査なし」の短期融資サービスを選ぶ家庭も増加しています。
こうした消費活動の変化は、個人にとどまらず経済全体に影響を及ぼし、需要の縮小を招く結果となります。
4-3. 経済全体への波及(需要縮小の影響)
消費者が支出を抑制すると、企業の収益にも悪影響を与えます。
特に小売業やサービス業などの消費者支出に依存する業種では、売上高が減少することで、経済活動全体が停滞するリスクがあります。この需要の縮小は、雇用の悪化や賃金のさらなる低迷を引き起こす可能性があり、悪循環が発生する懸念があります。
さらに、物価高が経済全体に重くのしかかり、新規投資や消費促進の動きが鈍化することで、成長が抑制される恐れもあります。
ですが、投資に関して言えば抑制すべきではなくむしろ積極的に行っていかなければならないものです。
お金がお金を呼ぶ世の中です。
元手となる資金を日々の節約や副業で稼ぎ、投資してお金を増やしていかなければ、私を含めたサラリーマンの収入ではいずれ、生活保護の生活レベルに負けてしまいます。
4-4. 老後資産や貯蓄へのリスク
実質賃金低下の影響は、日常の家計だけでなく、将来の資産計画にも影響を与えます。
投資、という将来への備えを怠ると、老後は地獄かもしれません。
物価高騰により生活費が増える中で、老後資産や貯蓄に回せるお金が減少するため、老後の生活に対する備えが十分にできなくなるというリスクが高まります。
加えて、インフレが続くと現金の価値が目減りし、現金預金だけでは資産を守ることが難しくなります。そのため、家計では節約をしつつも、効率的な資産運用を検討する重要性が増しています。
5. 実質賃金を改善するには?可能な対策と取り組み
5-1. 賃上げによる根本改善
実質賃金を改善するためには、賃上げが不可欠です。名目賃金の上昇が物価高に追いつくことで、購買力を維持・向上させられるからです。
たとえば、2024年の名目賃金は33年ぶりに2.9%増加しているものの、同年の消費者物価指数が前年より3.2%上昇しており、依然として実質賃金が減少しています。
このギャップを埋めるためには、企業が労働者に対し継続的かつ十分な賃上げを行うこと、そしてそれを後押しする政策が求められます。また、「春闘」など労使交渉を通じて賃上げの定着を図ることも重要です。
ただまぁ国は特に有効な政策を打ち出せないままに給料を上げろとお願いしているだけなので、すべてが商材などに価格転嫁されていたちごっこになってしまっている現状なんですけどね。。
5-2. インフレを抑制する政策
物価高が実質賃金を下押しする要因であるため、インフレを抑える政策も重要です。
例えば、経済政策を通じたエネルギー価格の安定化、食品価格の抑制に取り組むことで、物価上昇率を低く抑えることが可能です。
政府による電気・ガス料金の補助施策のような具体的な支援策を強化すれば、消費者の負担を軽減し、名目賃金の価値を守る一助となります。
また、過剰な需要を抑制するための適切な金融政策も併せて検討すべきでしょう。
5-3. 労働環境の改善(非正規雇用の待遇向上など)
労働環境の改善も実質賃金アップのための重要な要素です。
特に非正規雇用者の待遇向上が優先事項と言えます。2024年の統計では、パートタイム労働者の現金給与は前年比3.8%増加しているものの、その水準はフルタイム労働者と比較すると依然として低い状況です。
非正規雇用者の賃金アップや、正規雇用化の促進を通じて、全体的な名目賃金の底上げを目指す必要があります。また、働きやすい職場環境を整備することで生産性向上を狙い、より多くの賃金を支払える仕組みを作ることが期待されます。
5-4. 個人ができる家計防衛策とは?
ここが一番重要なポイントです。
物価高の中で実質賃金が低迷する状況下では、個人レベルでの家計防衛策も注目されます。
例えば、節約行動の実践や、支出を見直し必要のないサブスクリプションの解約などが効果的です。また、質屋などを活用して不要な品物を現金化する選択肢も家計の助けになるでしょう。
さらに、積極的に投資や副業などの収入源を増やす努力も、可処分所得を増やすための手段として有効です。
5-5. 世界の成功事例から学ぶ政策実例
実質賃金改善の参考として、他国の成功事例から学ぶことも重要です。
たとえば、北欧諸国では労使間での強い協力体制により、安定した賃金上昇が実現されています。また、ドイツでは非正規労働者への待遇向上政策が実施され、実質賃金の底上げに成功しました。これらの事例を日本の制度に応用し、社会全体での賃金改善を図ることが必要です。
グローバルな視点を持ち、適切な政策を導入して、物価高と実質賃金のバランスを取り戻すことを目指しましょう。
まとめ
政治や、会社に期待をしていたのではいけません。
自分自身が稼ぐ力、お金を守る力をつけて将来に備える必要があります。
そのためには投資活動や、電気・ガスなどの料金見直し、サブスクリプションの解約などの「固定経費」をしっかり見直して備えましょう。
最初はつらいかもしれませんが、削った支出は裏切りません。
いつか実を結んでよかったと思える日が来るはずですので、この記事の内容をぜひ実践してみてください。


コメント